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This Heat
いつもとちょっと違ったもの。

確か、日本盤タイトルは"地平"だったと記憶している。
79年のものなので当然リアルタムではないのですが、
UKアンダーグラウンドを掘り下げているうちに必ず突き当たる
「最大の壁」とでも言うのが適当かと。
アンダーグラウンドといっても日本盤も出てたし、
それなりの支持があったのだからそんなに大げさなアングラでもないか。

アバンギャルドの帝王と言われてたかどうかは知らないけれど、
とにかく理解不能。現代音楽と言ってしまった方が楽。
今だとノイズ系とか音響系等と片付けられてしまいそうで、
そんな簡単にしてはいけないのであまり引っ張りだしたくない感じはある。
とは言え、誰も引っぱり出さないからよいのだけれど(2006年にリマスタリングでCD再発)。
ただ今でも純粋に「カッコイイ」と思えるからそんなことはどうでもいい。

こういうと失礼だけど、必ずのぞく僕のエサ箱的
今は亡き渋谷ハンターの格安コーナーにレギュラーとして在籍しており、
(waveのセールに束で出されてるデペッシュモード程ではないが)
とても覚えやすいジャケット(表:青/裏:黄色)と名前のため、
知らないうちに脳に刷り込まれていた。

そんな高校生のある日、子供のころから知っている音楽や映画評論でおなじみの
「コンちゃん」こと今野雄二さんから「レコード整理するからおいでよ」と声を掛けられ、
代官山の地下倉庫にお宝を掘り当てにいく。
バカラック~Dボウイ~マービンゲイ~初期ラフトレード~プラネットロック等々、
60年代後半~90年初期くらいまでのレコードが、有り難いことに現地音楽誌の切り抜きや資料までついてるわけで、
この宝探しは10代の僕には知恵熱が出そうな程の出来事だった。
おかげでしばらく、学校と週末のSK8以外はこれら戦利品の処理に明け暮れる日々が続いた。

その時、ハンター格安コーナーで見慣れた
この青いジャケットもあったので当然持って帰ってお味見することに。
それは言葉にならない驚き、というかビックリ「…?!」でした。
「狂気」や「暗さ」そして今まで聴いてきたものと明らかに違うものでした。

ハンターで見かけることと、イギリスのレコードということ以外何の予備知識もなく、
純粋に聴くことができたことは今思うと有り難いこと。
気になったものは検索すれば済んでしまうという、
有り難くも悲しくもある今の時代に、そんな状況とはなかなか出会えないのだから。

この様に考えていると、ぼくはこう思えてならない。
新しい音楽が生まれないのではなく、生まれているにも関わらず、
先に情報や知識が邪魔し、既にあったものと結びつけたり、
もう出尽くしてしまった感に縛られすぎて純粋に受け入れることが
できないからなのではないかと。本当は知識や情報なんて後で良いんです。

後から色々調べていくうちに、イギリスでは70年代終盤から80年代初期にかけて
パンク~ニューウェーブと同期してノイズの嵐が吹き荒れていたようで、
その中でもこのthis heatがトップクラスということを知り、何となくその意味も理解出来たのだった。
とにかく音としてカッコイイのだから。

しかし、これを当時聴いていた理由としては、
1:今時こんな変なもの聴いてるやつなんていないはず
2:こういう理解出来ない音楽も知識と経験として必要なはず
3:何となく頭が良くなりそう
4:インテリが聴いてそう
5:手元にあるレコードは嫌でも聴き倒す
などという非常に間違った思い込みで聴いていたのだけれど、
今冷静に聴いてみてもしっかりカッコイイのだから、
やっぱり聴いてて良かったと思える(あまり無理して聴くもんでもないけど)。

こういう音楽って、
ドロップアウトしたインテリがロックを難しく考えすぎて生まれたような気がします。
爆弾作るか、音楽作るかそのどっちに行くかわからない不安定な「狂気さ」や「暗さ」が魅力なのかもしれません。

This Heat "This Heat"
this heat.jpg
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