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ただの偶然
James Walsh GYPSY Band

二十歳過ぎに初めてニューヨークに行きました。
その頃すごく欲しいレコードがこれでした。
でも、日本ではすごく高価なレコードだったので買えませんでした。

ガイドにはない「レコード屋と面白い何か」を求め、一日中街を歩きました。
イーストヴィレッジ辺りを歩いていると、怪しい古物屋がありました。
もう6時を過ぎすっかり陽も落ちていたのでその店を物色したら
もうホテルに帰ろうと決め、お店に入りました。

何てことはない古着に古本、古道具などがホコリと一緒に積まれた店の奥には
レコード棚がありました。
4〜5000枚くらいだったでしょうか。
一日中歩き回った疲れと、大したものもなさそうな雰囲気、そして時間もないので
適当にレコード棚に手を突っ込んでレコードを1枚引き出して帰ろうと思い、
引き出したのがこのレコードでした。

70年代のテレビ司会者みたいな格好をした店主がドレッドの大男と談笑している所に
割って入り、恐る恐る聞きました

「How much is this?」

店主は会話を邪魔されたことに機嫌を悪くしたのか、
こちらを睨みつけながらそのレコードを手に取りしばし沈黙

「・・・」

「どうか法外な値段を言わないでくれ!」と心の中で念じ、じっと店主を見つめていると一言、

「$3」

店主の気が変わらない様、驚くこともなく「ちょっと高いけどまあ買うか」という
仕草で3枚のリンカーンを手渡し、逃げる様に店を出て仏さまに感謝しました。

次の日、その店に行きました。
しかし、どこの通りだったか思い出せず、数時間歩き回った末結局辿り着けませんでした。


人以外でもこの様に忘れられない出会いはあります。
そしてそんな風に出会ったものは、時が経っても大切にしていたくなります。

馴染みのない街では期待もせずに思うがままに歩いていると、
そんな奇跡が向こうから飛び込んで来る時があります。

はっきり言って、ただの偶然です。

でもそうやって簡単に片付けないことが、
小さな幸せを見つけるコツなのではないかと、良く思うのです。
gypsy.jpg
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